重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律

今月のトピックは「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」です。

この法律は、重要施設周辺の区域内及び国境離島等の区域内にある土地等が重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため、基本方針の策定、注視区域及び特別注視区域の指定、注視区域内にある土地等の利用状況の調査、当該土地等の利用の規制、特別注視区域内にある土地等に係る契約の届出等の措置について定め、もって国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与することしています。定義等(法第2条)この法律において「土地等」とは、土地及び建物をいいます。
それでは見ていきましょう!

2 この法律において「重要施設」とは、次に掲げる施設をいいます。
一 自衛隊の施設並びに日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条第一項の施設及び区域(「防衛関係施設」といいます。)
二 海上保安庁の施設
三 国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令で定めるもの(「生活関連施設」といいます。)

3 この法律において「国境離島等」とは、次に掲げる離島をいいます。
一 領海及び接続水域に関する法律第一条第一項の海域の限界を画する基礎となる基線(同法第二条第一項に規定する基線をいい、同項の直線基線の基点を含む。)を有する離島
二 前号に掲げるもののほか、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法第二条第一項に規定する有人国境離島地域を構成する離島(「有人国境離島地域離島」といいます。)

4 この法律において「施設機能」とは、次に掲げる機能をいいます。
一 防衛関係施設の我が国を防衛するための基盤としての機能
二 海上保安庁の施設の領海、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第一条第一項の排他的経済水域又は同法第二条の大陸棚(「領海等」といいます。)の保全に関する活動の基盤としての機能
三 生活関連施設の国民生活の基盤としての機能

5 この法律において「離島機能」とは、次に掲げる機能をいいます。
一 第三項第一号に掲げる離島の領海及び接続水域に関する法律第一条第一項の海域又は排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第一条第二項の海域若しくは同法第二条第一号の海域の限界を画する基礎としての機能
二 有人国境離島地域離島の領海等の保全に関する活動の拠点としての機能

1.注視区域
(1)注視区域の指定(法第5条)内閣総理大臣は、重要施設の敷地の周囲おおむね千メートルの区域内及び国境離島等の区域内の区域で、その区域内にある土地等が当該重要施設の施設機能又は当該国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供されることを特に防止する必要があるものを、注視区域として指定することができます。(法第5条第1項)内閣総理大臣は、注視区域を指定する場合には、その旨及びその区域を官報で公示しなければなりません。

法令編重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律5条第3項)注視区域の指定は、前項の規定による公示によってその効力を生じます。(法第5条第4項)

(2)土地等利用状況調査とそのための情報提供
内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査(土地等利用状況調査)を行うものとされています。(法第6条)内閣総理大臣は、土地等利用状況調査のために必要がある場合においては、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対して、当該土地等利用状況調査に係る注視区域内にある土地等の利用者その他の関係者に関する情報のうちその者の氏名又は名称、住所その他政令で定めるものの提供を求めることができます。(法第7条)内閣総理大臣は、前条第一項の規定により、同項に規定する情報の提供を求めた結果、土地等利用状況調査のためなお必要があると認めるときは、注視区域内にある土地等の利用者その他の関係者に対し、当該土地等の利用に関し報告又は資料の提出を求めることができます。(法第8条)

(3)勧告及び命令
内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用者が当該土地等を重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるときは、土地等利用状況審議会の意見を聴いて、当該土地等の利用者に対し、当該土地等を当該行為の用に供しないことその他必要な措置をとるべき旨を勧告することができます。(法第9条第1項)内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該者に対し、当該措置をとるべきことを命ずることができます。(法第9条第2項)

2.特別注視区域
(1)特別注視区域の指定(法第12条)
内閣総理大臣は、注視区域に係る重要施設が特定重要施設(注1)である場合又は注視区域に係る国境離島等が特定国境離島等である場合には、当該注視区域を、特別注視区域として指定することができます。
(注1)特定重要施設…重要施設のうち、その施設機能が特に重要なもの又はその施設機能を阻害することが容易であるものであって、他の重要施設によるその施設機能の代替が困難であるものをいいます。
(注2)特定国境離島等…国境離島等のうち、その離島機能が特に重要なもの又はその離島機能を阻害することが容易であるものであって、他の国境離島等によるその離島機能の代替が困難であるものをいいます。
内閣総理大臣は、特別注視区域を指定する場合には、その旨及びその指定に係る注視区域を官報で公示しなければなりません。(法第12条第3項)特別注視区域の指定は、前項の規定による公示によってその効力を生じます。(法第12条第4項)

(2)特別注視区域内における土地等売買等契約の事前届出(法第13条第1項)
特別注視区域内にある土地等(※1)に関する所有権又はその取得を目的とする権利の移転又は設定をする契約を締結する場合(「土地等売買等契約」(※2)といいます。)には、当事者は、※3に掲げる事項を、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、内閣総理大臣に届け出なければなりません。

※1 土地等について土地の面積(建物にあっては床面積)が200未満の場合、届出は不要です(施行令第4条)。
※2 土地売買等契約について移転又は設定をする契約には、予約契約を含みます。

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移転又は設定を受ける者が国、地方公共団体その他政令で定める者である契約は届出が不要です(施行令第5条、別表)。
移転又は設定後における当該土地等が特定重要施設の施設機能又は特定国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供されるおそれが少ないものとして政令で定められた契約(農地法3条1項の許可を必要とする契約など)については届出が不要です(施行令第6条)。以下のいずれかの土地等売買等契約を締結する場合には、届出が不要です(同条第2項)。但し、契約後に届出が必要になります(次の(3)を参照)。

一 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)による調停
二 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)による和解
三 家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
四 滞納処分、強制執行又は担保権の実行(その例によることとされる場合を含む。)としての競売
※3 届出事項
一 当事者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 当該土地等売買等契約の対象となる土地等の所在及び面積
三 当該土地等売買等契約の目的となる土地等に関する所有権等の種別及び内容
四 当該土地等売買等契約による土地等に関する所有権等の移転又は設定後における当該土地等の利用目的
五 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
内閣総理大臣は、第一項又は前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る第一項各号に掲げる事項についての調査を行うものとします。(法第13条第4項)

(3)特別注視区域内における土地等売買等契約の事後届出(法第13条第2項)特別注視区域内にある土地等について、※2に規定する事由により土地等売買等契約を締結したときは、当事者は当該土地等売買等契約を締結した日から起算して二週間以内に、第一項各号に掲げる事項を、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に届け出なければなりません。

3.国による土地等の買取り等(法第23条)
国は、注視区域内にある土地等であって、重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため国が適切な管理を行う必要があると認められるものについては、当該土地等の所有権又は地上権その他の使用及び収益を目的とする権利の買取りその他の必要な措置を講ずるよう努めるものとされています。

★出典(公社)全国宅地建物取引業協会の重要事項説明資料「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」より転記。

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