都市緑地法について

こんにちはラムセス代表の池田です。今回は「都市緑地法」についてご紹介させていただきます。都市緑地法は、都市公園法その他の都市における自然的環境の整備を目的とする法律と相まって、良好な都市環境の形成を図る法律であり、制定時の名称は「都市緑地保全法」だったのですが、2004年の都市緑地保全法等の一部を改正する法律の施行に伴い、現行の名称「都市緑地法」に改称されました。それでは見ていきましょう。

  1. 緑地保全地域における建築等の制限
    (1)緑地保全地域(法第5条)緑地保全地域とは、都市計画区域内又は準都市計画区域の緑地で次の各号のいずれかに該当する相当規模の土地の区域について、都市計画に定められた地域をいいます。
    1.無秩序な市街地化の防止又は公害若しくは災害の防止のため適正に保全する必要があるもの
    2.地域住民の健全な生活環境を確保するために適正に保全する必要があるもの
    (2)制限の内容(法第8条第1項)緑地保全地域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)にその旨を届け出なければなりません。
    ①建築物その他の工作物の新築、改築又は増築かいこん
    ②宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
    ③木竹の伐採
    ④水面の埋立て又は干拓
    ⑤その他、当該緑地の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの
    (3)確認方法(法第7条)都道府県等は、緑地保全地域に関する都市計画が定められたときは、その区域内における標準の設置その他の適切な方法により、その区域が緑地保全地域である旨を明示しなければならないこととされています。
  2. 特別緑地保全地区における一定の行為の制限
    (1)特別緑地保全地区(法第12条)特別緑地保全地区とは、都市計画区域内の緑地で、無秩序な市街地化の防止等のため適切な形態等を有しているなど一定の要件を満たすものとして都市計画で定められた地区をいいます。具体的には、前述のほか災害防止のための遮断地帯、神社等伝統的文化的意義をもつ区域、風致景観や動植物保護地などに指定されます。
    (2)制限の内容(法第14条第1項)特別緑地保全地区において、次の行為をしようとする者は、原則として、都道府県知事等の許可を受けなければなりません。
    ①建築物その他の工作物の新築、改築又は増築かいこん
    ②宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
    ③木竹の伐採
    ④水面の埋立て又は干拓
    ⑤その他、当該緑地の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの特別緑地保全地区は現状を変更する行為を原則として禁止し、そのかわり損失補償と土地の買入れの規定をおいています(法第16条、法第17条)。
    【適用除外】
    Ⅰ 公益性が特に高いと認められる事業の実施にかかる行為のうち当該緑地の保全上著しい支障を及ぼすおそれがないと認められるもので政令で定めるもの
    (a)高速自動車国道若しくは道路法による自動車専用道路の新設、改築、維持、修繕
    (b)土地改良法による土地改良事業の施行にかかる行為(水面の埋立て及び干拓を除く。
    (c)都市計画事業の施行として行う行為
    (d)その他
    Ⅱ 特別緑地保全地区に関する都市計画が定められた際、既に着手していた行為(但し、都市計画が定められた日から起算して30日以内に、都道府県知事等にその旨を届け出なければなりません)
    Ⅲ 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
    Ⅳ その他
    (3)確認方法 特別緑地保全地区に関する都市計画が定められたときは、都道府県はその地区内に特別緑地保全地区である旨を表示した標識を設けなければならないのでその標識により確認できます(法13条)。また、都市計画の図書を都道府県又は市町村の事務所において閲覧できます。
  3. 地区計画等区域内における条例による一定の行為の制限
    (1)制限の内容(法第20条第1項)市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、沿道地区整備計画若しくは集落地区整備計画において、現に存する樹林地、草地等(緑地であるものに限る。)で良好な居住環境を確保するため必要なものの保全に関する事項が定められている区域又は歴史的維持向上地区整備計画において、現に存する樹林地、草地その他の緑地で歴史的風致の維持及び向上を図るとともに、良好な居住環境を確保するために必要なものの保全に関する事項が定められている区域に限り、特別緑地保全地区を除く。)内において、条例で、当該区域内における次に掲げる行為について、市町村長の許可を受けなければならないこととすることができます。
    ①建築物その他の工作物の新築、改築又は増築かいこん
    ②宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
    ③木竹の伐採
    ④水面の埋立て又は干拓
    ⑤その他、当該緑地の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの
    (2)確認方法 地区計画等は都市計画に定められるので都市計画課等で調べられます。
  4. 管理協定の効力
    (1)管理協定(法第24条)管理協定とは、地方公共団体又は緑地保全・緑化推進法人が緑地保全地域又は特別緑地保全地区内の緑地保全を図るため、「土地の所有者等」と協定を締結し、当該協定に係る土地の区域内の緑地の管理を行うものです。この場合の「土地の所有者等」とは、当該地区内の土地又は木竹の所有者又は使用及び収益を目的とする権利(一時使用のものを除く。)を有する者をいいます。
    (2)制限の内容(法第29条)地方公共団体又は市町村長等が公告した管理協定はその公告のあった後において当該管理協定区域内の土地の所有者等となった者についても、効力が及びます。
    (3)確認方法(法第27条)地方公共団体又は市町村の事務所で管理協定の写しを閲覧するか、又は、その区域内に管理協定区域であることが明示されるので、それにより確認することができます。
  5. 緑化地域内における緑化率の規制
    (1)緑化地域(法第34条第1項)緑化地域は、用途地域のうち、良好な都市環境の形成に必要な緑地が不足し、建築物の敷地内において緑化を推進する必要がある区域について、都市計画に定めることができます。
    (2)緑化率(法第34条第2項)緑化率とは、建築物の緑化施設(植栽、花壇その他の緑化のための施設及び敷地内の保全された樹木並びにこれらに附属して設けられる園路、土留その他の施設(当該建築物の空地、屋上その他の屋外に設けられるものに限る。)をいいます。)の面積の敷地面積に対する割合をいいます。
    (3)制限の内容(法第35条)
    ①緑化率の規制(第1項)緑化地域内においては、敷地面積が政令で定める規模(1,000m2。ただし、市町村は、条例で300m2 以上1,000 m2 未満)で別に定めることができます(施行令第9条)。以上の建築物の新築又は増築をしようとする者は、当該建築物の緑化率を、緑化地域に関する都市計画において定められた建築物の緑化率の最低限度以上としなければなりません。当該新築又は増築をした建築物の維持保全をする者についても、同様です。
    ②適用除外①の制限は以下のいずれかに該当する建築物については適用されません。
    Ⅰその敷地の周囲に広い緑地を有する建築物であって、良好な都市環境の形成に支障を及ぼすおそれがないと認めて市町村長が許可したもの
    Ⅱ学校その他の建築物であって、その用途によってやむを得ないと認めて市町村長が許可したもの
    Ⅲ その敷地の全部又は一部ががけ地である建築物その他の建築物であって、その敷地の状況によってやむを得ないと認めて市町村長が許可したもの(第2項)
    ③制限の異なる緑化率がわたる敷地(第4項)建築物の敷地が、建築物の緑化率に関する制限が異なる区域の2以上にわたる場合においては、当該建築物の緑化率は、各区域の建築物の緑化率の最低限度にその敷地の当該区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以上でなければなりません。
  6. 一の敷地とみなすことによる緑化率規制の特例(法第36条) 総合的設計(建築基準法第86条第1項、第3項)及び連担建築物設計制度(建築基準法第86条第2項、第4項)の規定により同一敷地内にあるものとみなされる二以上の構えを成す建築物については、これらの建築物が同一敷地内にあるものとみなして緑化率の規定を適用します。
  7. 地区計画等区域内での条例による緑化率の指定(法第39条第1項)市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区整備計画又は沿道地区整備計画において建築物の緑化率の最低限度が定められている区域に限る。)内において、当該地区計画等の内容として定められた建築物の緑化率の最低限度を、条例で、建築物の新築または増築及び当該新築又は増築をした建築物の維持保全に関する制限として定めることができます。
  8. 緑地協定の効力
    (1)緑地協定(法第45条)緑地協定とは、都市計画区域又は準都市計画区域内における相当規模の一団の土地等の土地の所有権者や賃借権者等が、市街地の良好な環境を確保するために、その全員の合意により、その土地の区域における樹木等の種類、垣又はさくの構造など、緑地の保全又は緑化に関して締結した協定で、市町村長の認可を受けたものをいいます。この場合の賃借権者等とは、建築物等の所有を目的とする地上権者又は賃借権者をいいます。
    (2)制限の内容(法第50条)市町村長の認可を受けて公告された緑地協定は、公告後にその緑地協定区域内の土地の所有者や賃借権者等になった者についても効力が及ぶので、それに基づいて樹木等の種類、樹木等を植栽する場所、垣又はさくの構造等について制限がなされることがあります。
    (3)確認方法(法第47条第2項)市町村長は、緑地協定の認可をしたときは、その名称、区域、縦覧場所について公告し、その写しを市町村の事務所に備えて公衆の縦覧に供するとともに、緑地協定区域である旨をその区域内に明示しなければならないので、これらにより確認することができます。
    (4)緑地協定の認可の公告のあった後緑地協定に加わる手続等(法第51条第1項、第2項)緑地協定区域内の土地の所有者(土地区画整理法第98条第1項の規定により仮換地として指定された土地にあっては、当該土地に対応する従前の土地の所有者)で当該緑地協定の効力が及ばないものは、法第47条第2項(第48条第2項において準用する場合を含む。)の規定による認可の公告のあった後いつでも、市町村長に対して書面でその意志を表示することによって、当該緑地協定に加わることができます(第1項)。緑地協定区域隣接地の区域内の土地に係る土地所有者等は、法第47条第2項(第48条第2項において準用する場合を含む。)の規定による認可の公告のあった後いつでも、当該土地に係る土地所有者等の全員の合意により、市町村長に対して書面でその意思を表示することによって、緑地協定に加わることができます。ただし、当該土地(土地区画整理法第98条第1項の規定により仮換地として指定された土地にあっては、当該土地に対応する従前の土地)の区域内に借地権等の目的となっている土地がある場合においては、当該借地権等の目的となっている土地の所有者以外の土地所有者等の全員の合意があれば足ります(第2項)。
    (5)認可公告後に加入した協定の承継(法第51条第5項)緑地協定は、第1項又は第2項の規定により当該緑地協定に加わった者がその時において所有し、又は借地権等を有していた当該緑地協定区域内の土地(土地区画整理法第98条第1項の規定により仮換地として指定された土地にあっては、当該土地に対応する従前の土地)について、認可公告のあった後において土地所有者等となった者(当該緑地協定について第2項の規定による合意をしなかった者の有する土地の所有権を承継した者及び前条の規定の適用がある者を除く。)に対しても、その効力があります。
  9. 緑地協定の設定の特則
    (1)一人協定の承継効(法第54条第4項)都市計画区域内の相当規模の一団の土地の所有者が1人しかいない場合においては、その所有者は、市町村長の認可を受けてその土地の区域を緑地協定区域とする緑地協定を定めることができます。その協定は、認可の日から3年以内に緑地協定区域内の土地に2人以上の所有者や賃借権者等が存することとなった時から、一般の緑地協定と同一の効力を有する緑地協定となり、その土地の区域内の所有者や賃借権者等になった者に効力が及ぶので、これに基づき、樹木の種類、植栽場所等について制限を受けることがあります。
    (2)確認方法(法第54条第3項)市町村長は、緑地協定の認可をしたときは、その名称、区域、縦覧場所について公告し、その写しを市町村の事務所に備えて公衆の縦覧に供するとともに、緑地協定区域である旨をその区域内に明示しなければならないので、これらにより確認することができます(法第47条第2項)。
    (3)制限の内容緑地協定の効力(法第50条)市町村長の認可を受けて公告された緑地協定は、公告後にその緑地協定区域内の土地の所有者や賃借権者等になった者についても効力が及ぶので、それに基づいて樹木等の種類、樹木等を植栽する場所、垣またはさくの構造等について制限がなされることがあります。

★出典(公社)全国宅地建物取引業協会の重要事項説明資料「都市緑地法」より転記。

池田
株式会社ラムセスは、従業員一同、日々様々な法令について勉強しております。不動産売買のご相談は、株式会社ラムセスまでお問合わせください。きっと、お役にたてると思います。