古都保存法について

今月は「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」をご紹介させていただきます。全国的に指定されているエリアは多々ありますが、池田のなじみ深い鎌倉市、逗子市の風土などからお話ししていきます。

【鎌倉市の歴史的風土】

鎌倉市は、12世紀の末、源頼朝が天然の険要の地として武家政治の基礎を築き、政治の中心として繁栄し、また、鎌倉および室町時代を通じ、文化の枢要地として発展し、現代に至るまで数多くの歴史上重要な文化的資産を伝えています。現在も南の海岸線、三方の穏やかな山並みに囲まれた美しい自然のなかに、街の中心となる鶴岡八幡宮、静かなたたずまいの建長寺・円覚寺などの古寺、山あいの木洩れ日の中に往時をしのばせる「切通し」など、歴史的な資源が息づく街並みをみせています。晴れた日には遠く南に伊豆大島を望む鎌倉海岸は背景となる丘陵地と調和し、日本の古都のなかにあって海岸景観を有するという独特の景観もみせています。

【歴史的風土保存の経緯】

昭和30年代、40年代には東京、横浜などの大都市のスプロール化が進むなかで鎌倉もその影響を受けて転入人口が急速に増大し、開発の波は鶴岡八幡宮の裏山にまで迫る事態となりました。こうした事態に憂慮して、鎌倉市御谷(おやつ)地区の住民や文化人、市民団体によって「鎌倉の自然を守る会」が結成され、歴史的な環境保全の動きが活発化し、日本最初のナショナルトラストの活動にも結びつきました。このように、鎌倉市の市民活動は、古都における歴史的風土の保存のための立法措置に大きな役割を果たしました。

【歴史的風土保存区域等の指定状況】

昭和41年に鎌倉歴史的風土保存区域が5地区695ha指定され、昭和42年には浄妙寺地区、瑞泉寺地区などの合計9地区220.2haが歴史的風土特別保存地区として指定されました。その後、指定区域は、順次拡大され、瑞泉寺地区、寿福寺地区、妙本寺・長谷観音地区などを加え、特別保存地区は現在13地区573.6haとなっています。また平成12年3月に逗子市域を歴史的風土保存区域に加え、5地区989haが歴史的風土保存区域に指定されています。

【歴史的風土保存の取組】

鎌倉市では古くから市民団体による土地の買入れやその管理等が積極的に行われ、また、市民参加による古都のまちづくりを積極的に進めています。市民と行政が一体となって歴史的風土の保存とあわせて、古都鎌倉の景観の整備を進めています。
それではみていきましょう!

古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)

1.歴史的風土特別保存地区内における一定の行為の制限

(1)古都
京都市、奈良市、鎌倉市、及び政令で更に天理市、橿原市、桜井市、斑鳩町、明日香村(注)、逗子市及び大津市が指定されています。

(注)明日香村
奈良県の明日香村においては、特別措置法により「第1種歴史的風土保存地区」及び「第2種歴史的風土保存地区」がこの歴史的風土特別保存地区に該当し、この場合、後者の第2種歴史的風土保存地区については許可基準が特別に設定されており、歴史的風土に積極的に適合する建築物等は、建築等が一定限度で認められています。

(2)制限の内容(法第8条第1項)歴史的風土特別保存地区(都市計画に定められた地区)内において、建築物の新築や宅地の造成等の行為をしようとする者は、原則として、府県知事の許可を受けなければなりません。許可を受けなければならない行為として、次のとおり規定されています。

  1. 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
  2. 宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更
  3. 木竹の伐採
  4. 土石の類の採取
  5. 建築物その他の工作物の色彩の変更
  6. 屋外広告物の表示又は掲出
  7. 歴史的風土の保存に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの
  8. 屋外における土石、廃棄物又は再生資源の堆積なお、この規制は厳しいものであるため、損失の補償規定(法第9条)、土地の買入れ措置(法第11条)等が用意されています。

【適用除外】
イ 歴史的風土特別保存地区内において行う工事に必要な仮設の工作物の新築、改築又は増築
ロ 一定の屋外広告物の表示又は掲出のために必要な工作物の新築、改築又は増築など

★出典(公社)全国宅地建物取引業協会の重要事項説明資料「古都保存法」より転記。

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