前回の記事では不動産投資の「空室リスク」について取り上げましたので、今回は「修繕リスク」について取り上げます。
修繕は大まかに2つ!
修繕は大きく2つに分類されます。
- 「建物全体の大規模修繕」
- 「室内の小規模修繕」
この2つを同一の修繕リスクとして考えてしまうと、実は不動産投資において正確な判断ができません。それでは、「建物全体の大規模修繕」と「室内の小規模修繕」について個別に説明していきます。
建物全体の大規模修繕
大規模修繕は、建物の外装や設備に関わる工事のことです。主に行われる修繕が下記のものとなります。
- 建物の防水工事
- 建物の外装の塗装
- 鉄部の塗装
- 建物設備(エレベーター・電気設備等)
新築時点から年数を経るに従って劣化が始まり、おおよそ12~24年周期で修繕を必要とします。特に中古物件でエレベーターなどの設備がある場合には、交換等が必要な時に莫大な費用負担(500-1000万程度)が生じる為、気を付けなくてはいけません。新築建物の利回りが低いのは、修繕リスクが低いことも1つの要因となります。
中古の投資不動産を選別する際には、現状の管理状態や今までの修繕履歴を確認し、場合によっては専門の業者による調査が必要となる事も頭に入れておきましょう。高利回りということだけに飛びついて、購入後すぐにエレベーターの故障や雨漏りなどが起きたら目も当てられない状況となります。
室内の小規模修繕
人が住めば室内は必ず劣化します。あえて上記の大規模修繕と項目を分けたのは、20㎡のワンルームよりも50㎡のファミリータイプの方が室内の小規模修繕費用が多く掛かる点を考慮してもらいたいからです。下記の金額を参考としてみて下さい。
20㎡のワンルーム | 50㎡のファミリータイプ | |
室内クリーニング | 3~5万円 | 5~10万円 |
クロス張替え | 8~10万円 | 20~25万円 |
フルリフォーム費用 | 150万円程度~ | 230万円程度~ |
同一利回りであれば、単純に少ない修繕費用で賃料を稼げる物件の方が優秀であるということになります。ワンルームであれファミリータイプであれ、少なからず一定量の修繕費用が必要となります。例えば、ワンルームで月額3万円程度の賃料収入しかないと、最低限の修繕費用が賄い切れずに、せっかく貯めた賃料収益を修繕で食いつぶすことになります。場合によっては、賃料収入で賄い切れずマイナスになる恐れすらあります。
私の経験則では、築20年を超えた時にワンルームで月額3万円・ファミリータイプで月額5万円を下回るエリアでの不動産投資は、修繕リスクの観点からお勧めできません。
修繕リスクのまとめ
- 『同一利回りの場合、なるべく大規模修繕に費用が掛からない物件の方が優秀』
RC等で大規模な建物には大きなリスクがあります。土地や建物が大きく資産価値を実感しやすい為、見落としやすいリスクになります。 - 『同一利回りの場合、なるべく1㎡あたりで高い賃料収入がある物件の方が優秀』
地価の低い地方の方が不利です。
ますます、地方投資不動産の利回りが高い理由が分かってきた気がしますね。
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