こんにちは、株式会社ラムセス代表の池田です。今回は森林法についてご紹介させていただきます。この法律は森林生産力向上を目的とした森林行政の基本法であり、最終改正は、平成30年6月1日(法律第35号)となります。内容としては保護・監督の行政規定と盗伐などに対する特別刑法について、森林・林業基本法の基本計画と長期見通しに即した森林計画の樹立、保安林・保安施設地区の指定、施業・測量のための他人の土地使用、森林審議会などについて規定しております。また、東京都・神奈川県を管轄している林野庁は「東京神奈川森林管理署」「関東森林管理局東京事務所」等となります。それでは見ていきましょう。
1.地域森林計画対象民有林における開発行為の制限
(1)地域森林計画地域森林計画とは、都道府県知事が、全国森林計画に即して、森林計画区別に、その森林計画区にかかる民有林につき5年ごとに、10年を1期としてたてる計画をいいます(法第5条)。民有林とは、国有林以外の森林をいいます(法第2条第3項)。
(2)制限の内容(法第10条の2第1項)地域森林計画の対象となっている民有林(保安林並びに保安施設地区の区域内及び海岸保全区域内の森林を除く。)において次のような開発行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません。土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為で、次に掲げる規模を超えるもの(施行令第2条の3)。
Ⅰ 専ら道路の新設又は改築を目的とする行為でその行為にかかる土地の面積が1haを超えるものにあっては道路の幅員3m
Ⅱ その他の行為にあっては土地の面積1ha
【適用除外】
Ⅰ 国又は地方公共団体が行う場合
Ⅱ 火災、風水害その他の非常災害のために必要な応急措置として行う場合など
(3)地域森林計画の対象となっている民有林の確認方法都道府県知事は、地域森林計画をたて、又はこれを変更したときは、遅滞なくこれを公表しなければならないこととされており、都道府県、市町村の森林担当部局に地域森林計画図が縦覧されているので、これにより確認できます。2.施業実施協定の効力が及ぶことによる制限(法第10条の11の6)
森林整備市町村の区域内に存する一定の要件を満たす一団の民有林の所有者は、その対象森林について行う間伐・保育等の森林施業の共同化やそのための必要な施設の整備に関する協定(施業実施協定)を締結できますが、この協定は、公示のあった後にその民有林の所有者となった者に対しても効力があります。なお、施業実施協定は、当該協定の対象となる森林の森林所有者及び土地の所有者全員の合意が必要で、有効期間は10年を超えないこととされています(法第10条の11第4項、第5項)。
3.保安林予定森林又は保安施設地区予定地区内における一定の行為の制限
(1)保安林(法第25条)
保安林は、①水源のかん養、②土砂の流出の防備、③土砂の崩壊の防備、④飛砂の防備、⑤風害、水害、潮害、干害、雪害又は霧害の防備等の目的を達成するため必要があるときに、農林水産大臣により指定されます。
(2)保安施設地区(法第41条)
保安施設地区とは、①水源のかん養、②土砂の流出の防備、③土砂の崩壊の防備等の目的を達成するため、森林の造成事業又は森林の造成若しくは維持に必要な事業(保安施設事業)を行う必要があると認めるときにおいて、農林水産大臣により指定される地区をいいます。
(3)保安林予定森林(法第29条、法第30条)
農林水産大臣は、保安林の指定をしようとするときは、あらかじめその旨並びに保安林予定森林の所在場所、指定目的等をその森林の所在地を管轄する都道府県知事に通知し、通知を受けた都道府県知事は、その通知の内容の告示等を行います。
(4)保安施設地区予定地区(法第44条)
農林水産大臣は、保安施設地区の指定をしようとするときは、あらかじめ、保安施設地区予定地区の所在場所、指定の目的等をその地区の所在地を管轄する都道府県知事に通知し、都道府県知事は、その旨の告示を行います。
(5)制限の内容(法第31条、法第44条)
告示のあった保安林予定森林内又は保安施設予定地区内においては、都道府県知事は、90日を超えない期間内において立木竹の伐採又は土石若しくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為を禁止することができます。
(6)保安林予定森林又は保安施設地区予定地区の確認方法
保安林予定森林又は保安施設地区予定地区となった場合、都道府県知事により告示がなされ、その森林又は地区の所在する市町村の事務所に掲示されます(法第30条)。また、都道府県知事によって当該保安林予定森林内又は保安施設地区予定地区内での一定の行為が禁止された場合は、禁止の対象となる森林又は地区の所在地、禁止すべき行為の内容、禁止の期間が告示され、その保安林予定森林又は保安施設地区予定地区の所在する市町村の事務所に掲示されます(施行規則第18条)。4.保安林又は保安施設地区における一定の行為の制限
(1)制限の内容(法第34条第1項、第2項、法第44条)
保安林又は保安施設地区においては、原則として、都道府県知事の許可を受けなければ立木の伐採、立竹の伐採、立木の損傷、家畜の放牧、下草・落葉・落枝の採取、土石・樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為を行うことができません。
【適用除外】
Ⅰ法令又はこれに基づく処分によりこれらの行為をする義務のある者がその履行としてする場合
Ⅱ火災、風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合など
(2)保安林又は保安施設地区の確認方法
取引物件が保安林又は保安施設地区にかかるものであるか否かは、現地に出向いて標識で確認できます。また、都道府県の担当部局で保安林台帳又は保安施設地区台帳を閲覧することができます。★出典(公社)全国宅地建物取引業協会の重要事項説明資料「森林法」より転記。