自然公園法とは

こんにちは、株式会社ラムセス代表の池田です。今回は「自然公園法」についてご紹介させていただきます。みなさんにはあまり馴染みのない法令だと思いますが、不動産取引で当該区域内(以下「自然公園法」という。)に該当する際に、不動産仲介業者が買主様、売主様へ重要事項説明時に説明義務がある法令となります。それでは見ていきましょう。

自然公園法

1.特別地域内における建築行為等の制限
(1)特別地域(法第20条第1項)
特別地域とは、環境大臣が国立公園について、都道府県知事が国定公園について、その風致を維持するため、公園計画(国立公園又は国定公園の保護又は利用のための規制又は施設に関する計画で環境大臣が決定するもの)に基づいて、その区域(海域を除く。)内に指定した区域をいいます。
(2)制限の内容(法第20条第3項)
国立公園又は国定公園内の特別地域(特別保護地区を除く。)内において、次の行為をしようとする者は、国立公園にあっては環境大臣の、国定公園にあっては都道府県知事の許可を受けなければなりません。
Ⅰ 工作物の新築、改築又は増築
Ⅱ 木竹の伐採
Ⅲ 鉱物の掘採又は土石の採取など

【適用除外】
Ⅰ 届出を要する行為(法第20条第6項、第7項)
(a)特別地域が指定され、又はその区域が変更された際、既に着手していた行為
(b)非常災害のために必要な応急措置として行う行為など
Ⅱ 許可及び届出を要しない行為(法第20条第9項)
(a)公園事業の執行として行う行為
(b)認定生態系維持回復事業等として行う一定の行為
(c)風景地保護協定に基づいて風景地保護協定区域内で行う一定の行為
(d)通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で環境省令で定めるものなど
(3)確認方法
特別地域の指定は、国立公園についてはその区域が官報(国定公園については都道府県の公報)で公示されるのでこれを確認します。また、その区域を表示した図面を、都道府県又は市町村の担当部局、事務所において閲覧することができます。
2.特別保護地区内における建築行為等の制限
(1)特別保護地区(法第21条第1項)特別保護地区とは、環境大臣が国立公園について、都道府県知事が国定公園について、その景観を維持するため、とくに必要があるとして、公園計画に基づいて特別地域内に指定した地区をいいます。
(2)制限の内容(法第21条第3項)国立公園又は国定公園内の特別保護地区内において、次の行為をしようとする者は、国立公園にあっては環境大臣の、国定公園にあっては都道府県知事の許可を受けなければなりません。
Ⅰ 特別地域内において許可を受けなければならない行為
Ⅱ Ⅰのほか、木竹の損傷植栽、家畜の放牧、屋外における物の集積や貯蔵、火入れ又はたき火など

【適用除外】
Ⅰ 届出を要する行為(法第21条第6項、第7項)
(a)特別保護地区が指定され、又はその区域が拡張された際既に着手していた行為
(b)非常災害のために必要な応急措置として行う行為など
Ⅱ 届出を要しない行為(法第21条第8項)
(a)公園事業の執行として行う行為
(b)通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で環境省令で定めるものなど
(3)確認方法
特別地域の場合と同じです。
3.海域公園地区内における建築行為等の制限
(1)海域公園地区(法第22条第1項)
海域公園地区とは、環境大臣が国立公園について、都道府県知事が国定公園について、その公園の海域の景観を維持するため、公園計画に基づいてその区域の海域内に指定した地区をいいます。
(2)制限の内容(法第22条第3項)
国立公園又は国定公園内の海面内の海域公園地区内において、次の行為をしようとする者は、国立公園にあっては環境大臣の、国定公園にあっては都道府県知事の許可を受けなければなりません。
Ⅰ 工作物の新築、改築又は増築 Ⅱ 海面の埋立て又は干拓 Ⅲ 汚水又は廃水を排水設備を設けて排出する行為など

【適用除外】
Ⅰ 届出を要する場合(法第22条第6項、第7項)
(a)海域公園地区が指定され、又はその区域が拡張された際既に着手していた行為
(b)非常災害のために必要な応急措置として行う行為
Ⅱ 届出を要しない場合(法第22条第8項)
(a)公園事業の執行として行う行為
(b)認定生態系維持回復事業等として行う行為
(c)通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で環境省令で定めるもの
(3)確認方法 特別地域の場合と同じ方法により確認できます。
4.普通地域内における建築行為等の制限
(1)普通地域
普通地域とは、国立公園又は国定公園の区域のうち特別地域及び海域公園地区に含まれない区域をいいます。
(2)制限の内容(法第33条第1項)
国立公園又は国定公園内の普通地域内において、次の行為をしようとする者は、国立公園にあっては環境大臣の、国定公園にあっては都道府県知事に対し、行為の種類、場所、施行方法、着手予定日等の事項を届け出なければなりません。
Ⅰ 一定の基準(建築物は高さ13m 又は延べ面積1,000㎡、別荘地の用に供する道路は幅員2m 等)を超える工作物の新築、改築又は増築(増改築の規模が一定基準を超える場合の増築又は改築を含む。)
Ⅱ 特別地域内の河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼす行為
Ⅲ 土地の形状の変更など

【適用除外】(法第33条第7項)
Ⅰ 公園事業の執行として行う行為
Ⅱ 認定生態系維持回復事業等として行う行為
Ⅲ 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって次に掲げるような行為
(a)宅地内の池沼等の埋立て
(b)宅地内の鉱物の掘採又は土石の採取
(c)宅地内の土地の形状の変更 Ⅳ 国立公園、国定公園若しくは海域公園地区が指定され、又はその区域が拡張された際既に着手していた行為
Ⅴ 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(3)確認方法
特別地域の場合と同じです。
5.風景地保護協定の効力の承継効
(1)風景地保護協定(法第43条)
環境大臣、地方公共団体又は公園管理団体で、風景地保護協定に基づく自然の風景地の管理に関するものを行うものは、国立公園又は国定公園の自然の風景地の保護のため必要があると認めるときは、当該公園の区域(海域を除く。)内の土地又は木竹の所有者又は使用及び収益を目的とする権利を有する者と風景地保護協定を締結して、当該土地の区域内の自然の風景地の管理を行うことができます。風景地保護協定には、区域、管理の方法、必要とされる施設の整備事項、協定の有効期間、協定に違反した場合の措置等が定められます。
(2)制限の内容(法第48条)
環境大臣、地方公共団体又は都道府県知事は、風景地保護協定を締結したときは、その旨を公告することとされています。この公告のあった風景地保護協定は、その公告のあった後において当該風景地保護協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても、その効力があります。
6.都道府県立自然公園の区域内における建築行為等の制限(法第73条第1項)
都道府県は、条例の定めるところにより、都道府県立自然公園の風致を維持するため、その区域内に特別地域を指定することができます。都道府県立自然公園内の特別地域又はその他の区域内において、工作物の新築や土地の形状の変更等の行為をしようとする者は、その都道府県の条例によって、国立公園又は国定公園における特別地域又は普通地域における行為に対する規制の範囲内で必要なものの規制を受けることがあります。

★出典(公社)全国宅地建物取引業協会の重要事項説明資料「自然公園法」より転記。

池田
株式会社ラムセスは、従業員一同、日々様々な法令について勉強しております。不動産売買のご相談は、株式会社ラムセスまでお問合わせください。きっと、お役にたてると思います。