水防法について

水防法とは

  1. 水防法は、洪水、雨水出水、津波又は高潮などに際して、水災を警戒、防御し、被害を軽減して、公共の安全を保持することを目的とした法律です。
  2. 最近における気象条件の変化に対応して、多様な主体が連携し大規模な洪水等に対する防災・減災対策を推進するため、配慮が必要な者が利用する施設における避難体制の強化などの措置が講じられています。

浸水被害軽減地区における一定の行為の制限

  1. 浸水被害軽減地区(法15条の6第1項)
    浸水被害軽減地区とは、水防管理者(※1)が、盛土構造物等の存する区域について指定するもので、洪水氾濫の際、これらを浸水拡大を抑制する施設として活用するため、その保全が図られる地区です。
    (※1)水防管理者とは、水防管理団体である市町村の長又は水防事務組合の管理者若しくは長若しくは水害予防組合の管理者をいいます。
    水防管理者は、次の①②の両方を満たす区域について、浸水の拡大を抑制する効用があると認められるものを浸水被害軽減地区として指定することができます。
    ① 洪水浸水想定区域内(※2)であること(当該区域に隣接又は近接する区域を含み、河川区域は除かれます。)
    ② 輪中堤防その他の帯状の盛土構造物が存する土地(その状況がこれに類する土地を含みます)の区域であること
    (※2)洪水浸水想定区域とは、国土交通大臣又は都道府県知事が、水災による被害の軽減を図るため、想定し得る最大規模の降雨により当該河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域として指定したものです。
  2. 制限の内容(法15条の8第1項)
    浸水被害軽減地区において土地の掘削、盛土又は切土その他土地の形状を変更する行為をしようとする者は、行為に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日等を水防管理者に届け出なければなりません(法15条の8第1項)。 但し、次の行為については届出は不要です。
    ① 通常の管理行為
    ② 軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの(施行令第1条)
    * 浸水被害軽減地区内の土地の維持管理のためにする行為
    * 仮設の建築物の建築等の浸水被害軽減地区内の土地を一時的な利用に供する目的で行う行為(行為前の状態に回復されることが確実な場合に限られます)
    ③ 非常災害のため必要な応急措置として行う行為 水防管理者は、届出があった場合において、当該浸水被害軽減地区が有する浸水の拡大を抑制する効用を保全するため必要があると認めるときは、届出をした者に対して、必要な助言又は勧告をすることができるものとされています(法15条の8第3項)。また、この規定に違反して届出をしない場合や虚偽の届出をした場合は、土地の形状を変更する行為をした者等 は、30万円以下の罰金に処せられます(法第54条)。
  3. 確認方法
    水防管理者は、浸水被害軽減地区を指定したときは、浸水被害軽減地区である旨を表示した標識を設けなければならないとされています(法第15条の7)。浸水被害軽減地区への標識の設置については、浸水被害軽減地区の名称や管理者等が明示されており、その周辺の居住者等の見やすい場所に設ける基準が定められています。このほか、水防管理者は区域指定したときは、その区域を公示するとともに、その旨をその区域の市町村の長と、浸水被害軽減地区内の土地の所有者に通知しなければならないと定められています(法第15条の6第3項)。

水害ハザードマップにおける当該宅地建物の所在地

ハザードマップとは自然災害による予測被害を地図化したもので、自然災害に応じて地震、火山、土砂災害など様々なものがあります。このうち水害ハザードマップは、水防法第15条第3項に基づき市町村長が住民等に周知させるため作成された、洪水・内水(雨水出水)・高潮の被害予測を地図化したものです。 具体的には、以下の3つの浸水想定区域について予測した被害を地図化しています。

  • 洪水浸水想定区域(水防法第14条)
  • 雨水出水浸水想定区域(水防法第14条の2)
  • 高潮浸水想定区域(水防法第14条の3)

市町村(特別区を含む。以下「市町村等」と呼ぶ。)の長が水防法第15条第3項に規定する措置として同法施行規則第11条第1号の規定により提供する図面を「水害ハザードマップ」と呼びます。

※出典(公社)全国宅地建物取引業協会の重要事項説明資料「水防法」より転記。
※宅地建物取引業法施行規則の改正により、令和2年8月28日より不動産売買契約の際に不動産仲介業者が買主、売主へ説明する重要事項の説明項目が追加されました。今回の改正により、取引の対象となる宅地又は建物の所在する市町村等の長が水防法施行規則11条1号の規定により提供する図面(水害ハザードマップ)を提示し、対象物件の概ねの位置を示すことが義務付けられました。

池田
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