1.不動産と消費税
- 土地の譲渡及び貸付け消費税法上、土地の譲渡は非課税取引とされています。土地は元来消費されるものではなく、その譲渡は、資本の移転の一種と考えられるからです。また、土地の貸付け(一時的に使用させる場合などを除く。)についても、土地の譲渡が非課税とされていることや貸付金の利子が非課税であることとの均衡から、非課税とされています。したがって、地代には消費税は課税されません。なお、造成した宅地を販売する場合には、土地の売買に該当しますから消費税は課税されませんが、宅地を造成する段階で支払った造成費は、宅地造成の請負という役務の提供の対価ですから、消費税が課税されます。立木など土地と独立した取引の対象となる土地の定着物は、消費税法上非課税となる「土地」には含まれません。したがって、山林などの売買については、立木と土地を一括して売買しても、立木部分の代金については課税されます。ただし、宅地の売買の場合に、庭木、庭石、石垣、庭園などを宅地と一体として売買する場合には、それらは土地に含まれるものとされ、非課税となります。
- 土地の貸付けの非課税の例外土地の貸付けのうち、次のものについては、①の非課税の原則が適用されず、課税されます。
Ⅰ 土地を一時的に使用させる場合土地を一時的に使用させる場合は課税されます。一時的とは、貸付期間の単位が1ヵ月未満であることをいい、貸付期間が1ヵ月に満たないかどうかは、その土地の貸付契約において定められた貸付期間によって判定します。
Ⅱ 施設の利用にともなって土地を使用させる場合建物、駐車場、野球場、プール、テニスコート等の施設を利用させる場合には、それにともなって必然的に土地を使用させることになりますが、それは消費税法で非課税となる「土地の貸付け」には該当せず、したがって、家賃(後述⑥の住宅家賃を除く。)、駐車料、野球場等の使用料等については、例えそれを土地の貸付けの対価とそれ以外の部分の対価に区分している場合であっても、それらの合計額が課税対象となります。ただし、駐車場として土地を使用させる場合は、その土地について駐車場としての用途に応じるような地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置などをせずに、事実上青空駐車させるような場合であって、その契約期間が1ヵ月以上のものは非課税となります。 - 土地の上に存する権利の譲渡又は貸付けについて土地の譲渡や貸付けと同様に、土地の上に存する権利の譲渡や貸付けについても非課税取引とされています。「土地の上に存する権利」とは、地上権、土地の賃借権、地役権、永小作権などの土地の使用収益に関する権利をいい、鉱業権、土石採取権、温泉利用権は含まれません。なお、借地権の更新料は、借地権の継続のために支払われるものであり、名義書換料は、借地権の売買に伴って支払われるものですから、「土地の上に存する権利」の設定若しくは譲渡又は土地の貸付けの対価に該当しますから課税されません。
- 土地付建物を譲渡する場合の取扱い土地と建物を一括して譲渡する場合には、消費税の課税標準を算出するために、土地(非課税)部分の譲渡代金と建物(課税)部分の譲渡代金を合理的に区分しなければなりません。合理的に区分されない場合は、原則として、全体の譲渡代金を譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率に按分して算出し、区分することになります。
- 売買契約における公租公課と消費税不動産取引の際に、固定資産税・都市計画税の公租公課を売買当事者の合意に基づき、買主が一部分担することがあります。この際売主が受領する分担金に関しては、売主が課税事業者である場合、受領した固定資産税・都市計画税のうち、建物に係るものは建物の譲渡対価の一部を構成するものとして、課税売上に該当するものとして取り扱われます。
- 家賃・共益費 (住宅家賃)
住宅の貸付け(居住用に供することが明らかなものに限り、一時的に使用させる場合などを除く。)は非課税です。
Ⅰ 住宅の範囲
住宅とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち、人の居住の用に供する部分をいいます。「人の居住の用に供する家屋」とは、人の居住の用に供するものとして建築された建物をいい、一戸建の住宅、アパート、マンション、社宅等がこれに該当します。
Ⅱ 貸付けの範囲
(a)非課税となる住宅の貸付けは、その貸付けにかかわる契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限られます。したがってマンション等であっても、当事者間の契約により事務所用として貸し付けられるものは、非課税とはなりません。
(b)住宅の貸付けのうち、一時的に使用させる場合などは非課税とはなりません。すなわち貸付けの期間が1ヵ月未満である場合(ウイークリーマンション等)やその貸付けが旅行業法に規定する旅館業にかかわる施設の貸付けに該当する場合(ホテル、リゾートマンション、貸別荘等)は非課税とはなりません。
2.総額表示方式の義務づけ
平成16年4月からの消費税法改正により、消費税の価格表示方式が総額表示方式に義務づけられました。「総額表示」の義務づけは、消費者に対して商品やサービスを販売する課税業者が行う価格表示を対象とするもので、それがどのような表示媒体によるものであるかは問われません。不動産関係では、宅地建物取引業法第46条第1項に基づく報酬告示(昭和45年建設省告示第1552号)や新聞、雑誌、インターネットホームページ等を利用した広告、ポスター等が対象となります。
なお、総額表示方式の例としては以下のとおりです。
取引価格が1,100万円の場合
(1) 1,100万円(2) 1,100万円(税込)
(3) 1,100万円(本体価格1,000万円)
(4) 1,100万円(うち税100万円)
(5) 1,100万円(本体価格1,000万円、税100万円)
3.印紙税と消費税
- 印紙税は、売買契約書や金銭の領収書等に課せられる税です。なお、上記2に関連して、消費税法改正に伴い、国税庁より印紙税の取扱いについて通達が出されました。それによると、上記2の総額表示方式の例のうち、(3)(4)(5)については、消費税額を含めない記載金額で印紙税額を計算し、(1)及び(2)については、消費税額を含んだ記載金額で印紙税額が判定されることとなります。
- 本体価格と消費税額をそれぞれ分けて領収書を作成する場合もありますが、この場合、消費税額のみを記載したものについては、「記載金額のないもの」として扱われ、200円の印紙税が課されます。ただし、その消費税相当額が5万円未満である場合には非課税文書に該当するものとして取り扱われます
※出典(公社)全国宅地建物取引業協会の重要事項説明資料「消費税法(地方消費税を含む)」より転記。
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