こんにちは、株式会社ラムセス代表の池田です。平成28年9月1日に「都市再開発法」改定により都市再生特別措置法などを一部改定する法律が定められました。例えば、共有地における組合員算定方法の合理化として複数棟の団地において土地が共有である場合には、都市再開発法上、共有者全員が一人の組合員とみなされてしまうため、民法の全員合意の原則が働き、合意形成が困難となることが課題でしたが、この改定により各共有者をそれぞれ一人の組合員として扱い、2/3合意での事業推進を可能とする。(※都市再開発法)他にも、「個別利用区制度」の創設などが改定されております。それでは見ていきましょう。
【都市再開発法】
1.市街地再開発促進区域内における建築行為の制限
(1)市街地再開発促進区域(法第7条)
市街地再開発促進区域とは、次に掲げる要件を満たす土地の区域で、その区域内の宅地について所有権や借地権を有する者による市街地の計画的な再開発の実施を図ることが適切であるとして都市計画に定められた区域をいいます。
① 高度利用地区、都市再生特別地区、特定用途誘導地区又は特定地区計画等区域内にあること
② 区域内の耐火建築物で次に掲げる以外のものの建築面積の合計が、その区域内のすべての建築物の建築面積の概ね1/3以下であること
Ⅰ 地階を除く階数が2以下であるもの
Ⅱ 所定の耐用年限の2/3を経過しているもの
Ⅲ 災害その他の理由によりⅡに掲げるものと同程度の機能低下を生じているもの
Ⅳ 建築面積が150㎡未満であるもの
Ⅴ 容積率が都市計画で定められたその区域の容積率の最高限度の1/3未満であるもの
Ⅵ 都市計画施設である公共施設の整備に伴い除却すべきもの
③ 区域内に十分な公共施設がなかったり、土地の利用が細分化されているなどにより、区域内の土地の利用状 況が著しく不健全であること
④ 区域内の土地の高度利用を図ることが、その都市の機能の更新に貢献すること
⑤ 建築物が密集しているため、災害の発生のおそれが著しい区域、又は大規模な火災等が発生した場合の避難 所等一定の公共施設と一体的に、建物及び敷地の整備を行うことが合理的であると認められる区域でないこと
(2)制限の内容(法第7条の4第1項)
市街地再開発促進区域内において建築物の建築をしようとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければなりません。制限を受ける行為としては、主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造で あって、階数が2以下で、かつ、地階を有しない建築物で、容易に移転し、
又は除却できる建築物の建築が規定されています。
【適用除外】
イ 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
ロ 階数が2以下で、かつ、地階を有しない木造の建築物の改築又は移転(施行令第1条の6)
(3)確認方法 都道府県又は市町村の事務所において都市計画の図書を閲覧して調べます。
2.第1種市街地再開発事業の施行区域内における建築行為等の制限
(1)第1種市街地再開発事業 第1種市街地再開発事業とは、建築物、建築敷地及び公共施設を一体的に整備する事業であって、市街地再開発 促進区域内の土地の区域又は上記1の①~④の条件に該当する土地の区域において、原則として都市計画事業とし て施行される市街地再開発事業の一種で、土地の収用手続によらないで権利変換手続を行うこととされています。
(2)制限の内容(法第66条第1項) 第1種市街地再開発事業の事業計画が確定した旨の公告があった後は、その施行地区内においてその事業の施行の障害となるおそれのある土地の形質の変更や建築物の新築等の行為をしようとする者は都道府県知事等の許可を受けなければなりません。
都市再開発法許可を受けなければならない行為として、次のものが規定されています。 ① 土地の形質の変更
② 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
③ 重量が5t を超える物件(容易に分割され、分割された各部分の重量がそれぞれ5t 以下となるものを除く。)の設置又は堆積(施行令第24条)
(3)確認方法 事業計画の確定するのは、具体的には個人施行の認可があったときや組合の設立の認可があったときなどであ り、その旨の公告がなされることとされています。
(注)第2種市街地再開発事業については、すべて都市計画事業として行われるので、都市計画法第65条の規定により同様の制限が課せられます。
(注)再開発地区計画は、平成14年12月31日をもって廃止されました。
3.個別利用区内の宅地の使用収益の停止
(1) 個別利用区 個別利用区とは、施設建築敷地以外の建築物の敷地となるべき土地の区域(一定の有用な既存建築物を存置又は移転することができる区域)のことです。
(2) 制限の内容(法第95条の2) 権利変換期日以後個別利用区内の宅地又はその使用収益権を取得した者は、第100条第1項の規定による公告があるまでは、当該宅地について使用し、又は収益することができません。ただし、前条の規定により当該宅地の占有を継続することができる場合は、この限りではありません。
(3) 確認方法 個別利用区は第1種市街地再開発事業において定められます。したがって、取引物件が第1種市街地再開発事業の施行地区内にあるかどうか、主に都市計画を担当する部署等で確認します。この場合、個人施行ではごく稀に都市計画事業として位置づけられていない場合もありますので、都市再開発法の担当部署が別途ある場合は、念のためそこでも確認しておく必要があります。
★出典(公社)全国宅地建物取引業協会の重要事項説明資料「都市再開発法」より転記。